Part 2 Planning プランニング

「洋書に出てくるような部屋で暮らしたい」——これは、私が在籍していたインテリア雑誌の編集部で一時、合言葉のように使われていた謳い文句です。

「洋書に出てくる部屋」ってどんな部屋なのか?と思いますよね。ここではインテリア分野に限っての話ですが、世の中に洋書というものは無数にあるわけだし、シンプルモダン、クラシック、ロマンチック、北欧スタイルと、テイストだって多彩です。でもたぶんこのフレーズが表していたものは、「インテリアの本や雑誌で 見た心ひかれる風景をヒントに、自分の住みたい部屋を考えよう」ということだったんじゃないかと思っています。「洋書」じゃなくても、国内の本や雑誌で も、広告やカタログでもなんでも。気になっていたものはとっておいて、いつか住みたい部屋に近づくためのビジュアル資料にする。それは、発想のヒントにな り、憧れを現実に近づける第一歩になってくれます。

そのインテリア雑誌「プラスワンリビング」の2010年4月号に、今回の工事の一部始終を特集として掲載させてもらうことになりました。このコーナーはそのこぼれ話です。

現在住んでいる部屋に入居して以来、それほど大きな不満はもっていませんでした。いろいろ探していた中で、内装も 建具や金具のデザインもニュートラルで、設備もしっかりしていて、一番気に入って購入したマンションだったから。でもその一方で、木の部分がもっとこういう質感だったらいいな、こんな色が使いたいな、ここにこの収納があるのはベストなんだろうか…といったような思いはけっこうあって。 無難でテイストレスなのがマンションという“箱”のいいところなのかもしれませんが、私の場合は、その“箱”自体を少し改造する時期に来たかな、と思った のがちょうど10年目を迎える頃でした。

仕事の参考用にたくさん持っている、いわゆる「インテリア洋書」に、個人的に心ひかれる風景はたくさんありました。その中でキッチン&食のシーンに 関係するものを選んで、打ち合わせに持っていったのが、今回のキッチンフォームのプランニングの始まりです。

設計・施工をお願いした「リブコンテンツ」の 代表・田原由紀子さんが「最初の打ち合わせで、イメージ優先の人なのか、実用優先の人なのかを見分けられただけで、その後の進行がスムーズになる」とおっしゃっていましたが、私はどうやらイメージ優先タイプだったようです。これらの資料の束、当時まだ「憧れ」レべルだったものを今、見返してみると、なんだかいい形で全部取り入れてもらっているなぁ、と改めて感じました。

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NYのショップ「POTTERY BARN」のインテリア本シリーズ、イギリスのインテリア誌「Living etc」、LEE特別編集の「マーガレット・ハウエルの『家』」、それから「FARROW & BALL」のカタログを参考資料にしました。

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これくらいスケール感のあるカウンターが欲しかったのです。このレベルは一軒家じゃないと無理そうとか、スペースに限りがあるとかいうことは、この際一度忘れて。天板も大理石がいいなぁとか。憧れるのは自由ですからね(笑)。

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キッチンの面材に色を塗りたいということはずっと考えていました。だって可愛いですよね、ブルーグレーとか淡いグリーンとかにペイントしたキッチン。今回は結局、ちょっと違ったものになったわけですが。

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左/マーガレット・ハウエルさんの本に出てくるこのページも好きで、面材にグレイッシュな色を塗る…という夢をかき立てました。右/ペイントは絶対「FARROW&BALL」と決めていました。カタログのこの写真も気になる。この半円形のハンドルがどうも好きみたいだなぁ。

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この写真を見ながら「天板を木にするとこんな家具感覚のカウンターになるんですね」という話をした覚えがあります。結果的にこれに一番近いテイストになりました。

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「好きと思ったページにどんどん付箋を貼って」と夫にも資料の束を渡したら、こんなページにチェックが。ちょっと骨太なカントリーテイストですが、カウンターの天板、古くなったらこんな感じになるかも。

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