とても思い出深い本になりました。

撮影は7月中旬過ぎの2日間。
長く大切にしてもらう一冊になるかと思うと、丁寧にやりたくて、
いつも以上にじっくりと時間をかけ、
2日間とも、朝早くから夜遅くまでスタジオにいました。

この本のコンセプトにぴったりの
素敵なウェディングブーケ&ブートニアの制作と、
結婚4年目の「花婚式」のページの花をセレクトしてくださったのは
南青山の「ル・ベスベ」の高橋郁代さんでした。

有名な方なので、ご存じの方も多いと思いますが
その高橋さんが、9月に急逝された悲しいニュース。
私もスタイリストの小山さんも、このお仕事が
高橋さんにお世話になった最後になってしまいました。

ペーパーに何重にも大切にくるまれたお花が
スタジオに届いたのは、撮影2日目の暑い午後。

花婿が襟元に挿す小さな小さなブートニアが
ブーケの横にちょこんと置かれていました。

ペーパーで笹舟のような形の包みを作って
箱の中でブートニアがつぶれないように、迷子にならないように。
みんなで感動した、高橋さんのお花への愛情が伝わるこまやかな心配り。

今週の初め、ベスベさんで行われた
高橋さんのお別れの会でいただいてきたお花。

撮影の日のブートニアのように、一輪を大切にくるんで。
持ち帰って水に挿したら、つぼみが全部咲きました。


美しいお花の写真集のような「ル・ベスベ」さんのダイアリーも
2000年から毎年、楽しみにしていました。
大好きなベスベさんの、高橋さんの世界でした。

撮影のとき、デザイナーの若井さんと
お互いの愛犬が高齢で、元気がなくなってきたから
大切にしてあげないとね、という話をしたのですが、
私の愛犬はなはその撮影の10日後に、天国に行ってしまいました。
若井さんの愛犬も夏の終わりに、静かに旅立ったと聞きました。

撮影はたった4ヶ月前のことなのに、
そのときお世話になった人が、一緒にいた家族が、
今はここにいないということ。
WEDDING ANNIVERSARY BOOKのラストは
長い時間をともに過ごした、お互いへの感謝を綴るページ。
すべてのことが永遠ではないけれど、
感動したり、幸せだったり、楽しかったり
誰かを思ったりの、そのときどきの思いは永遠ともいえる。
長く使ってもらえる一冊をつくる機会をいただいたのだから、
そこまできちんと考えなさい、と、誰かに言われている気がしました。

高橋郁代さん、素晴らしいお仕事と素敵な思い出を
これまで本当にありがとうございました。